給与についての調査依頼は多いです。
その背景と調査方法についてまとめていきます。
給与を調べる理由と調査タイプ
競合企業の給与水準を知りたい、
とか、
ヘッドハンティングや引き抜きをしたいから参考資料として給料を知りたい、
など目的は様々ですが、ニーズとしてはかなり高いものがあります
目的・ニーズによって給与調査のタイプは様々ですが大きく分けて次の三つです。
- その会社の人事考課制度から給与水準まで人事考課すべてを網羅するタイプ
- 給与水準など支払い金額を知りたいタイプ
- 特定の人や特定の業務内容に絞って支給額を知りたいタイプ
その会社の人事考課制度から給与水準まで、人事考課すべてを網羅するタイプ
人事考課制度から給与支給水準まで知りたい調査は、調査対象が広くなります。
というのも、人事考課制度は法律でのルールや決まりはなく、その会社の裁量で自由に決められるので非常に幅広くとなります。
人事考課制度の調査には階級分けのための資格や条件などを調べるものと、その階級分けに対応する形で、給与水準を表にするのが一般的ですね。
(人事考課の際の直属上司用の評価シートを調べるなどもありますが、難易度は高いです)
これらを調べた結果、調査の依頼元が自社とどう違うか、改善点はココ、と比較するために使うことが多いようです。
また、これまで人事評価などは行なっておらず、社長や上司が行っていた主観的な判断を客観的に変えるために、人事考課を新たに作る場合のたたき台として使うようなケースもあります。
給与水準など支払い金額を知りたいタイプ
給与水準を知りたい場合は、人件費総額をコスト見直しの観点から比較したいというケースが多いです。
人件費はどの企業においてもかなりのウエイトを占めるので、そこが高いのか低いのかというのは経営者としては気になる点かと思います。
業務内容や職制、年代別などにおいて給与水準を分解し、同じ状態の自社社員が高いか低いかなどを比較します。
場合によってはリストラの材料になったりすることもあります。(ライバルや業界水準よりも高い社員はクビにしようとか、調査の打ち合わせの段階で言われると、結構心苦しい時も多いです)
特定の人や特定の業務内容に絞って支給額を知りたいタイプ
特定の個人の給与を調べる調査は、その人を引き抜くなど目的が決まっているパターンがほとんどです。
これは、調査依頼の段階で、ある程度の幅を持って答えさせてくださいと返答します。
というのも給与情報は、その会社や個人にとっては機密情報になるので取材などで聞くというのは難しいからです。
どうしても特定のピンポイントで返答するのがかなり困難となるので、いくらから、いくらという形での調査となります。
この調査では対象となる年齢・役職業務内容などでその会社の人事考課のレールに沿って行けば、どれぐらいの年収水準になるかなどで調査します
給与って調べられるの?
給与明細を手に入れるというようなストレートな調査はまず無理です。
能力など人それぞれのポイントを考慮に入れてない形式ばった会社であれば楽なのですが、取材した人がどういう状態であるかというのは判断しづらいので、取材で分かりづらいです。(取材で聞いた内容があてにならないことが多い)
ただ、下のようなやり方である程度の幅をもった調査なら可能です。
調査方法
調査のやり方としては色々な方法があると思います。
他にも色々方法はあると思いますが、私や同僚がやっている調査方法をまとめます。
賃金統計を見る
業種ごとの基礎的な賃金統計は押さえておきたい所です。
基本的な所では厚労省の「賃金構造基本統計調査」などです。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou_a.html
業種、規模などで細かい区分があります。(一例としてはいかのようなかんじです)
ハローワークや求人広告の求人票を探す
結構使える方法です。
対象の職種や地域の求人があれば便利です
手当や地域差なども確認できます。
その企業は出している(公表している)ものなので、説得力があります。
口コミ、書き込みを見る
ネットの口コミ、書き込みは良し悪しです。
本当の事を書いてあるかどうかがまず不安になりますね。
企業情報の平均賃金情報を見る
企業情報をまとめた本や一覧では、企業の売上高などの情報とともに、「平均賃金」や「賞与額」などをまとめているものもあり、参考になる時があります。
ただ、上場企業や大手企業しか収録されていないケースが多いのが難点です。
対象の会社でなくても同業種の人事考課などを労務系雑誌や統計から探す
会社の人事考課を考え時、また、同業種からの中途入社を考えた際、同業種の給与や人事考課は必ず基準にするはずです。
ここから大きく離れた結果となれば、逆に根拠や論拠が必要となりますので、そういう意味でも初めに押さえるべき数値でもあります。
その会社の人に聞く、本人へ聞く
クライアントや周囲への説得力は一番高い方法ですが、本当の事を言っているかどうか分かりません。
同じ部署の複数人からヒアリングできるなどが出来れば別ですが、
他の調査に比べてヒアリング精度は低いと思った方がいいと思います。